中国産原料を使用した楽京製品の値上げが4月の春夏向けの棚割りから実施される。商談は年明けから本格化してくる見通しだが、楽京メーカー各社は従来品の190gを160gに変更するなど、20%~30%減量となる量目調整が主流。業務用は20%~30%増の価格改定となる。
中国の2021年産は離農や工業化が進み、作付面積が前年比で約30%減少。加えて長雨等の天候不順が続いたことで、加工向けの収穫量は同30~40%減と大幅に減少し、漬け込み量も同35%減となる3万tに留まった。
サイズによっても異なるが、塩蔵楽京の価格は20~30%増と高騰し、過去最高値を更新した。2021年産は近年稀に見る減産となったこともあり、来年は限られた原料を大事に販売していく年になる。
原料状況に加え、人件費、調味資材、物流費などあらゆる製造コストが上昇。さらに、海外原料の割合が多い漬物企業にとって不利な状況が続く為替の影響も大きく、企業努力だけで対応できる状況ではなくなっている。昨年の楽京の原料価格も高値だったが、各企業はコストの上昇分を吸収する形で対応。原料を含めた製造コストは上昇し続けており、採算割れを回避するべく、今回の動きとなった。
産地の維持も懸念されている。日本向けに漬物原料を生産している中国では、賃金や物価が上昇していることもあり、近年は収入面での魅力が薄れてきている。適正な利益を出せなければ、これまでのように安定的に原料を買い上げることが困難になり、産地が衰退する恐れもある。農家の来年の生産意欲も懸念されているが、衰退した産地が復活することはなく、将来的な観点からも商品の安定供給が危惧される。
11月以降、パン、練り製品、冷凍食品、食用油、ハム・ソーセージなど、多くの食品が値上げを実施している。主な要因は原材料価格や物流費の高騰。製造コストが上がっている中で製品価格を維持することに限界がきていることを示している。
小売店のバイイングパワーは依然として強く、値上げの実施は簡単ではないが、適正価格の販売ができなければ市場を維持できなくなる可能性もある。漬物は品目によって海外原料の依存度が高く、年明けから楽京以外でも値上げの動きが本格化しそうだ。
【2021(令和3)年12月21日第5079号1面】